現代の日本の乗馬クラブで乗ることができる品種は、サラブレッド、アングロアラブ、セルフランセ、ハノーバーやセルフランセといった品種です。
中でも特に多いのは、一般人でも耳にする機会の多いサラブレッドになります。
ひと口に馬といっても、その品種は実に様々です。犬に置き換えて考えれば分かりやすいでしょう。
例えば、チワワやトイプードルといった愛玩犬やシェパードなどの猟犬など、小型犬から大型犬まで様々な種類がいますね。馬の場合も同じことです。
と言われても「馬の種類なんて考えたこともなかった」という方が大多数でしょう。私自身もそうでした。
簡単に言えば、馬は「人間が乗るために改良された品種」と「脚力を荷車や農耕作業に利用するための品種」に大別されます。
もちろん乗馬クラブで乗ることができるのは前者になり、その代表格が先にご紹介した種類というわけです。
もともと乗馬に適している品種はハノーバーやセルフランセなどです。温厚で素直な性質と耐久力を兼ね備えていると言われています。
一方、数ある馬の品種でも特に知名度が高いサラブレッドですが、本来は乗馬に適しているとは言えません。
なぜならご存知のように、サラブレッドは競走馬として改良された品種で、気性が激しく瞬発力も強いので手懐けるのが大変だからです。
とは言え、その理由は後述しますが、日本の乗馬クラブの馬の大部分はサラブレッドです。「気性の荒いサラブレッドより穏やかで大人しい他の馬がいい」となると、乗る馬がないということにもなりかねません。
その点、きちんとした乗馬クラブなら、サラブレッドを乗馬向けに調教するノウハウにも長けていますので、さほど心配はありません。
そもそも馬の性格は個体差や調教具合により大きく左右されます。極端に言えば、十分に調教されていない乗馬用の品種よりも、乗馬用に良く調教されたサラブレッドの方が安全で乗りやすいと言えます。
乗馬クラブのサラブレッドは、成績不振で引退を余儀なくされた競走馬である場合がほとんどです。あえて詳しくは述べませんが、成績を残せなかった競走馬には哀れな末路が待っています。
乗馬クラブの皆さんは、もともと馬が好きで仕事に携わっている方が多いので、そうした忍びない馬たちを可能な限り引き取って、調教して乗用馬にしているのです。
このように関係者の方々の愛情を注がれているサラブレッドは、むしろ乗馬に向いている馬だと言っていいのではないかと思います。